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個人事業主の経費にできるもの・できないもの|家事関連費の按分の考え方

個人事業主の経費になるのは、国税庁の説明では「収入を得るために直接かかった費用」と「その年に生じた販売費・一般管理費などの業務上の費用」です。生活のための支出(家事上の費用)は経費になりません。仕事と生活の両方に使うもの(家事関連費)は、業務で使った部分を明らかに区別できる金額だけが経費になります。

この記事では、国税庁の公式の説明(タックスアンサー No.2210・所得税基本通達)にもとづいて、経費になるもの・ならないものと、家事関連費の按分の考え方を整理します。

(確認元:国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)、所得税基本通達45-1・45-2、No.2080「帳簿などの保存」。2026年10月2日に確認しました。個々の判断は、税務署または税理士に確認してください)

経費になる費用の2つの種類

国税庁は、事業所得・不動産所得・雑所得を計算する時に経費にできる金額を、次の2つとしています。

  1. 収入に対応する売上原価など、収入を得るために直接かかった費用
  2. その年に生じた販売費・一般管理費など、業務上の費用

経費に入れる「年」の決まり

経費になる金額は、その年に「債務が確定した」金額です。支払った年ではなく、確定した年で考えます。国税庁は、債務の確定を次の3つをすべて満たす場合としています。

  • その年の12月31日までに、債務が成立している
  • その年の12月31日までに、債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生している
  • その年の12月31日までに、金額が合理的に算定できる

たとえば、年内に支払っていても、サービスを受けるのが翌年なら、その年の経費にならないことがあります。反対に、支払っていなくても、年内に債務が確定していれば、その年の経費です(減価償却費のように、債務の確定によらない費用もあります)。

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経費になるもの・ならないもの(国税庁が示している例)

項目 扱い
事業税 全額が経費になる
固定資産税 業務用の部分に限って経費になる
業務用の資産を買うための借入金の利息 経費になる
業務用資産の修繕に要した費用 一定の場合を除き、経費になる
所得税・住民税 経費にならない
罰金・科料・過料 経費にならない
生計を一にする配偶者・親族に支払う地代家賃 経費にならない(受け取った人の所得にもならない)
生計を一にする配偶者・親族に支払う給与 経費にならない(青色事業専従者給与は除く)

「家賃」「通信費」「食事代」といった項目の名前だけで、経費になるかどうかが決まるわけではありません。事業のために必要だったかどうかで判断されます。

家事関連費:仕事と生活の両方に使うもの

自宅兼事務所の家賃・電気代、仕事にも私用にも使うスマホの料金などは、「家事関連費」と呼ばれます。国税庁は、このうち経費になるのは、取引の記録などにもとづいて、業務に直接必要だったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限るとしています。

どれだけを経費にできるかは、所得税基本通達で、次のように示されています。

  • 業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定する
  • ただし、必要な部分が50%以下でも、その部分を明らかに区分できる場合は、その金額を経費にして差し支えない
  • 判定は、業務の内容、経費の内容、家族や使用人の構成、店舗併用の家屋などの資産の利用状況などを総合して行う

按分の計算の例(面積で分ける場合)

按分の基準は、公式に1つに決められているわけではなく、実態に合った基準で、区分できる根拠を残すことが大切です。次は、面積で分ける場合の計算例です。

項目 数字
自宅の家賃(月額) 90,000円
自宅の面積 60㎡
仕事専用に使っている部屋の面積 20㎡(3分の1)
経費にできる家賃(月額) 90,000円 × 20/60 = 30,000円
1年分 30,000円 × 12か月 = 360,000円

仕事専用の部屋を決めて、間取り図と面積の根拠を残しておくと、区分の説明がしやすくなります。通信費やスマホの料金は、通話明細・利用の記録など、業務に使った割合を説明できる記録で分けます。

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領収書・帳簿の保存

経費にするには、記録と証拠の保存が必要です。国税庁のNo.2080では、請求書・納品書・領収書などの書類は5年間、収入や経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年間、保存する必要があるとされています。帳簿と保存期間の詳細は、個人事業主の帳簿のつけ方と保存期間にまとめました。

経費にできるかどうか迷う時は?

「事業のために必要だったか」「仕事の分を明らかに区分できるか」の2点で考えます。迷う支出は、領収書・使った目的のメモ・按分の根拠を一緒に残しておき、申告の前に税務署や税理士に確認するのが安全です。

経費にならないものを入れてしまったら?

申告した後に気づいた場合は、修正申告などの手続きがあります。手続きは状況によって違うため、税務署に確認してください。

まとめ

  • 経費は「収入を得るために直接かかった費用」と「業務上の費用」。その年に債務が確定したもので考える
  • 所得税・住民税、罰金・科料・過料などは経費にならない
  • 仕事と生活の両方に使うもの(家事関連費)は、業務に使った部分を明らかに区分できる金額だけが経費になる。必要な部分が50%超が基本で、50%以下でも明確に区分できれば経費にできる
  • 領収書などは5年、帳簿は7年保存する

青色申告の控除や申請の期限については、青色申告承認申請書の出し方と期限も確認してください。